
弊社では、SES事業を展開する株式会社FreeStyle(以下、FreeStyle)に対して、中途エンジニア採用の支援を行いました。
支援開始時点の採用はリファラルが中心でした。事業の拡大に合わせて採用の規模を上げていくにあたり、継続的に人が集まる仕組みが必要な段階にありました。求人媒体の選定、求人原稿の設計、人材紹介エージェントとの連携体制の構築を通じて、その基盤を構築。この期間に社員数は3名から15名規模まで拡大しました。現在は「採用する」段階から「入った人が定着し、機能する」段階へ移り、組織づくりの支援へとテーマが移っています。
1.支援前の状況
FreeStyleはSES事業を主軸に、中途のエンジニア採用を継続的に行う必要がある企業です。支援開始当時、採用の中心はリファラルでした。
リファラル採用は、紹介者が会社を理解しているぶん精度が高く、コストもかかりません。FreeStyleもここまでリファラルで組織をつくってきました。一方で、採用できる人数が社員の人脈の広さに規定されるという構造的な上限があります。事業を拡大していく段階では、この上限をどう超えるかが重要になります。(この構造については紹介依存の経営はなぜ危険?でも解説しています)
この点について、支援を区切るにあたって山本様に伺いました。
支援を始める前、採用で一番困っていたのはどこでしたか?
→リファラルで拡大していくのも限界を感じており、採用ノウハウがなかったので、そこをプロリバさんに補っていただけるのは非常に助かりました。
2.実施内容
弊社が担当したのは、以下の3領域です。
- 求人媒体の選定と運用:エンジニア採用は媒体ごとに集まる層が大きく異なります。どの媒体にどの職種を出すか、予算をどう配分するかを設計し、運用しました。
- 求人原稿の設計:求人原稿は募集要項ではなく「誰に何を伝えるか」の設計そのものです。SESという事業形態は、求職者側に「客先常駐はキャリアとして不利ではないか」という先入観を持たれやすい領域でもあります。その前提を踏まえて書き方を検討しました。
- 人材紹介エージェントとの連携:複数のエージェントと継続的にやり取りし、求める人物像を共有して推薦の質を揃えていく業務です。地味ですが、ここが最も成果を左右しました。
3.ゼロから仕組みになるまでに効いたこと
(1)求める人物像を、入社後の姿から擦り合わせできたこと
求める人物像は、FreeStyleと伴走する中で固まっていきました。話していたのは、SESとして実際に現場に入れる人か、その案件が本人のキャリアに繋がるか、FreeStyleが大切にしていることは何か、といったことです。
スキルや経験年数だけで条件を切ると、採用市場に実在しない人物像になりがちです。逆に条件を緩めても、入社後にどの現場でどう働くのかが見えていなければ、入ってから合わないということが起こります。だから、採用市場にいそうな人と、FreeStyleで力を発揮できそうな人の重なりを探していきました。
やり取りは資料だけではなく、面談の様子を録画していただき、こちらで確認することもありました。どんな話をして何を評価しているのかを直接見ると、書面では出てこない基準や魅力が分かります。
この人物像を、人材紹介エージェントとのやり取りと、媒体での募集の両方に反映していきました。エージェントには要件表を渡して終わりにせず、選考結果を材料に「なぜこの人は合っていたのか/合わなかったのか」を共有する。この往復を続けるほど理解度が上がり、推薦の精度も安定していきました。(関連:応募は来るのに欲しい人材が来ない原因)
FreeStyleが本気で取り組んでいただけたからこそ、成果に繋がったと考えています。
(2)決めた人物像を、求職者に届く言葉にしたこと
人物像が決まっても、それが求職者に届かなければ応募には繋がりません。ここからは外に向けた作業になります。
使ったのは人材紹介エージェントと、エンジニア向けのスカウト媒体です。いずれもエンジニアの母集団が大きいところを軸に選びました。中途のエンジニア採用では、母集団の規模がそのまま結果に効いてくるためです。
スカウト媒体で試し続けたのは、FreeStyleが求職者からどう見えるかでした。同じ会社でも、何を前に出すかで受け取られ方が変わります。伝え方を変えて反応を見る、を繰り返しながら固めていきました。
求人原稿は、見出しと仕事内容を中心に手を入れています。待遇については、どこまで提示できるかを実際の求職者市場と照らし合わせながらFreeStyleと相談しました。相場の情報はこちらで持ち込み、判断は会社としてしていただく形です。
訴求した要素のひとつが、FreeStyleが教育事業も手がけていること、そして案件をできるだけ本人の希望やキャリアに合わせて考えることでした。SESは案件次第という見られ方をしやすい領域なので、ここは他社との違いとして伝わる部分だと考えています。
4.株式会社FreeStyle 代表・山本様 インタビュー
質問1: 採用にお金をかけ始める前、正直どんなところが不安でしたか?
→採用にお金をかけて、その分のリターンが得られるかはシンプルに不安でした。また、人材を採用してもすぐに辞めてしまわないか、会社としてしっかりと本人の希望をかなえてあげられるかなど、不安だらけでした。
質問2: 応募が継続的に回るようになって、社内で変わったことは何でしょうか?
→社員が増えるにつれ、社内に活気が出てきました。それと同時に様々な問題も浮上してきたので、今はただ採用するだけではなく、組織を維持するための仕組みづくりを意識して日々対応しています。
質問3: 組織拡大に一番効いたと感じていることは何ですか?
→やはり自社のノウハウだけではこれだけ採用は出来なかったと思います。プロリバさんに協力してもらえたことで、まずは第一の基盤を構築することが出来ました。また、採用の活動をする前にしっかりと会社のMVVなどを定義することで会社の強みを理解しておくことが大事であることを実感しました。
5.次のフェーズ
山本様のコメントで印象的だったのは、質問1の後半です。
不安の中身が「費用のリターン」だけでなく、採用した人の希望に、会社として応えられるかだったこと。採る側が、採られる側に対して責任を感じている。この視点があったからこそ、人数が増えた後の課題にも早い段階で目が向いたのだと思います。
そして質問2にある通り、人が増えれば必ず新しい問題が生まれます。採用は組織づくりの入口であって、ゴールではありません。
現在FreeStyleでは、採用支援から組織づくりの支援へとテーマを移し、入った人が定着し力を発揮できる状態をどう作るかに取り組んでいます。
まとめ
採用がうまくいかないとき、多くの場合は「応募が足りない」という形で問題が認識されます。ただ今回のケースを振り返ると、効いていたのは媒体や原稿そのものよりも、その前段でした。
どんな人に来てほしいのかを、入社後の姿まで含めて決めること。そして、その像を求職者に届く言葉に変えること。この2つが揃うと、媒体もエージェントも同じ方向に動きます。
もし今、採用媒体に掲載しても応募が来ない、あるいは応募は来るが欲しい人材が来ないという状態にあるなら、一度こう確認してみてください。
- 求める人物像を、入社後にどの現場でどう働くかまで含めて言葉にできているか
- その人物像が、社外の人が読んで同じイメージを持てる形になっているか
- エージェントや媒体に対して、選考結果をもとに要件を更新し続けているか
このいずれかが空いている場合、掲載量を増やしても結果は変わりにくいと考えています。優先順位の考え方は採用を強化するには何から始める?、うまくいかない会社に共通する構造は採用がうまくいかない会社の特徴5選で解説しています。
Progress Liberty(プロリバ)では、事業設計から採用・集客の仕組みづくりと実行までを一貫して支援しています。採用でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
